真説吝嗇記

真説吝嗇記


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山本周五郎が描く、笑って沁みる人間滑稽譚。

無類の酒好きで人情家の飛田門太。

そして、極端な倹約家として家中に知られる甥・鑓田宮内。

宮内は三百五十石の武士でありながら、畳も障子も無駄と考えるほどの徹底した吝嗇家だった。

そこへ現れるのが、宮内をさらに上回る倹約の鬼・かつ女。

二人の結婚をきっかけに、物語は奇妙で可笑しな方向へ転がっていく。

しかし本作は、ただの「けち話」では終わらない。

宮内の死後、彼の評判は思いがけない形で一変する。

昨日まで笑われていた男が、今日には忠臣として讃えられる。

その裏にあったのは、世評の危うさと、叔父・門太の静かな人情だった。

昭和二十三年、戦争の傷がまだ癒えぬ時代に発表された本作。

価値観が大きく揺れた時代背景を思うと、この滑稽譚の笑いには、鋭い風刺と深い余韻が感じられる。

軽妙な笑いの奥に、人間へのあたたかな眼差しが残る。

山本周五郎ならではの味わい深い一篇です。